14...その夜(おまけ)【Side:三木直人】*

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「ん、ぅ、ん、んっ」  俺の思考を掻き乱したいみたいに、逸樹さんは小刻みに腰を揺さぶり続ける。  追い立てられて背を反らせ、枕から俺の頭が浮くと、待っていたようにぎりぎりまで腰を退かれ、一気に奥まで突き入れられる。 「やっ、あぁっ……!」  殺し損ねた自分の声が、少し遅れて耳に届く。俺は慌てて枕に手を伸ばし、すぐにまたそれを掻き抱こうとした。  なのにそれを彼が阻む。 「いい加減それ離せ」 「ひぁ……っ」  言うなり、彼は俺の片脚を曲げさせて、繋がりを解かないまま手際よく身体を反転させた。  広げられている部分に、さっきまでとはまた違う刺激を受けて、思わず息を呑む。 「だ、だって、声がっ……」 「口、塞いで欲しいなら俺が塞いでやる」  一旦起こしていた上体を伏せながら、逸樹さんはまっすぐに俺を見る。射抜くような眼差しが痛いくらいだった。 「ん……っ……」  彼はゆっくりと唇を重ね、俺の声を吐息ごと封じ込めた。  そうしながら、俺の胸元に触れ、充溢した熱に触れ、探るように抽挿を再開し――。  やがて同時に達したところで、俺の記憶はぷつりと途切れた。
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