1831人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん、ぅ、ん、んっ」
俺の思考を掻き乱したいみたいに、逸樹さんは小刻みに腰を揺さぶり続ける。
追い立てられて背を反らせ、枕から俺の頭が浮くと、待っていたようにぎりぎりまで腰を退かれ、一気に奥まで突き入れられる。
「やっ、あぁっ……!」
殺し損ねた自分の声が、少し遅れて耳に届く。俺は慌てて枕に手を伸ばし、すぐにまたそれを掻き抱こうとした。
なのにそれを彼が阻む。
「いい加減それ離せ」
「ひぁ……っ」
言うなり、彼は俺の片脚を曲げさせて、繋がりを解かないまま手際よく身体を反転させた。
広げられている部分に、さっきまでとはまた違う刺激を受けて、思わず息を呑む。
「だ、だって、声がっ……」
「口、塞いで欲しいなら俺が塞いでやる」
一旦起こしていた上体を伏せながら、逸樹さんはまっすぐに俺を見る。射抜くような眼差しが痛いくらいだった。
「ん……っ……」
彼はゆっくりと唇を重ね、俺の声を吐息ごと封じ込めた。
そうしながら、俺の胸元に触れ、充溢した熱に触れ、探るように抽挿を再開し――。
やがて同時に達したところで、俺の記憶はぷつりと途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!