14...その夜(おまけ)【Side:三木直人】*

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 ちなみに、その後は意外なほど平穏無事に食事して、逸樹さんのマンションに行き、俺が用意していたシャンパンとケーキを、それこそ大したものでもないのに嬉しそうに食べてくれる逸樹さんに……何て言うか、――き、きゅんとしたりしながら、それはもう本当に楽しくて幸せなクリスマスを過ごすことができた。  俺はというと、酒の影響もあってか、恋人同士らしからぬ妙な警戒?もすっかり解けて、そのままリビングのソファでうとうとしかけたりもして――。  でも、今思うとそれがいけなかったのかもしれない。  ふと「酒飲んでるから送るのは朝な」と言われ、それには夢現にも素直に頷けたんだけど、まさかそのまま「そのつもりで酒は夜にって言ったんだろ」と寝室にひっぱりこまれるなんて――。  色々ありつつも、最後は幸せなクリスマスで締められたと、俺はそう思っていたけど、彼の中でのクリスマスはまだまだこれから状態だったらしい。  要は一人勝手に楽しかったと気を許しすぎてしまった俺の負け……?  だけどもう、それでいいと思うしかないのかもしれない。 「お前が傍にいるのに、触れない道理はねぇだろ?」  相変わらず自分勝手に、釘を刺すように囁く彼のことを、それでも許してしまうんだから。 「傍にいられる幸せって言葉を知らねーのかよ」  言い返しても堪(こた)えない彼の背後で、ぱたんとドアが閉まる音がした。 ……end
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