4...後の祭【Side:三木直人】

5/6
前へ
/354ページ
次へ
 気がつけば、いつの間にか陽は完全に沈んでいて、そろそろ電気も点けるべき頃合になっていた。 (……ここはもう、謝るしか…)  宏哉が暗がりを怖がらないことを幸いに、俺は彼を部屋に残して狭いバルコニーに立っていた。  落とした視線の先――手の中には携帯電話。相変わらず、そこには期待するような着信は一件も無い。  俺は徐に指を動かした。  メールの受信ボックスを開き、彼が最後に送ってきたメールに再度目を通す。そして今度は自分が送ったメールを見ようと、送信ボックスを開いてみた。 「――アレ? ……送信失敗?」  学校の友人やバイト先の知人、早い話が彼以外に送ったメールを通り過ぎ、やがて表示された画面を目にして、俺は思わず唖然とする。  俺が最後に送ったのは、月末の土日の予定について。  けれどそのメールのステータスには、はっきり「送信失敗」の文字が……。 (そりゃ返事もこねーよ)  自動で再送される設定にしていなかった俺も俺だが、そもそもこうまで反応が無いと思った時点で確かめるべきだった。  俺は自分自身に向け大きな溜息を一つ吐くと、さすがにもう躊躇っている場合でもなく、彼の番号を呼び出した。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加