5...似たもの同士【Side:山端逸樹】

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「暗いけど……出れそうか?」  聞けば、携帯のライトを懐中電灯代わりにすれば大丈夫そう、と返る。 「じゃ、待ってるから」  そこで、一瞬美咲のことを切り出そうか迷ったけれど、どうせ来れば分かることだ。  なるべくこの現実から目を背けたくて、俺はあえてその言葉を飲み込んだ。  と――。  程なくして大荷物を抱えた直人がアパートの入口に現れる。  沢山の荷物に見え隠れするように、直人の傍で何か小さな陰が動いているように見えるのは、気のせいだろうか?  暗がりの中、イマイチよく見えなくて定かではなかったそれが、近付いてくるに連れてハッキリとした輪郭を伴ってくる。 (子供……?)  一瞬、頭の中に浮かんだ思考を「ありえねぇだろ」と打ち消してから、後部シートの美咲のことを思い出し、背中に嫌な汗が滲む。 「……久しぶり」  直人がそう言って恐る恐る助手席のドアを開けたのと、 「きゃー、いい男!」  後部座席の美咲が黄色い声を上げたのとがほぼ同時だった。
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