6...大人と言う名の【Side:三木直人】

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 6...大人と言う名の【Side:三木直人】

 さっきまで寝ていたからか、車に乗るなり宏哉はまたうとうとと眠りに落ちてしまった。  人見知りが激しい宏哉は、初めて見る人の車に一人で座るのを嫌がって、それならと一緒に後部座席に乗ろうとしたら、 「前で抱いてりゃいいだろ」 「前に一緒に乗ったらいいじゃない」  逸樹さんと、そして同乗していた幼い少女に口を揃えてそう言われ、 (……なんでだよ。そりゃ家は近いかもしれねーけど…)  思いながらも、 「いや、捕まったら困るのはそっちだろ」  事故ったら秋ちゃんに顔向けできないし!  結局俺は首を縦には振らず、後部座席に乗り込んだ。  ていうか、マジでなんなんだこの二人。危うく気圧されて言いなりになるところだった。  単に促すようでいて、選択の余地を与えない。二人の言い様は、まさにそんな感じ。本当にそっくりだと思った。
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