6...大人と言う名の【Side:三木直人】

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 目的の階で開いたエレベーターのドアを抜け、彼の部屋の前で足を止めると、間も無く中へと促される。だけどそれも、 「汚いところですけど、どうぞー」  口を開きかけた逸樹さんを阻む形で、美咲ちゃんがしたことだった。  まるでわざと逸樹さんの神経を逆撫でしたいみたいな、妙に楽しそうな表情で。 「ごちそうさまでした」  夕飯の用意についてはすっかり失念していて、結局帰り道にある弁当屋で調達することになった。  寝ていた宏哉は一先ずソファに寝かせて貰っていたが、リビングに夕飯の支度――弁当と飲み物を広げただけだが――ができた頃には、自ら「お腹空いた」と目を覚ました。  そしてそれぞれがちょっと遅めの夕飯を済ませた後。とりあえずシャワーを浴びてくると言って、逸樹さんは席を外した。
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