7...疎外感【Side:山端逸樹】

1/4
前へ
/354ページ
次へ

 7...疎外感【Side:山端逸樹】

 折角久々に会えたというのに、直人との距離は近いようで遠い。  それというのも、望まないこぶが二つくっ付いているせいだ。  直人の連れてきた宏哉という少年はともかく、問題は美咲だ。俺が直人に何か言おうとするたびに邪魔をしては楽しんでいる。それがありありと伺えるだけに、はらわたが煮えくり返る思いがした。  そんな美咲の魂胆なんて直人にも分かるだろうに、相手が子供だからか俺よりも彼女を優先するように見えるのがまた腹立たしくて。  こんな思いをするぐらいなら、いっそ逢わないほうが良かったんじゃないか?  傍にいるのに触れることも許されない直人を見ているのが辛くて……食事を終えると同時に俺は半ば逃げるように浴室へこもった。  高めに温度設定した熱いシャワーを浴びながら、それでもスッキリ出来なくて――その苛立ちをぶつけるように乱暴に髪を洗う。  そうしてふと浴室の鏡に映る自分の顔を見て、思わず自嘲した。 (何、情けねぇ面してんだよ、俺は――)  触れられない、触れてはいけない、と思うからいけないんじゃないか?  ガキがいるぐらいで何を遠慮する必要がある?  そう思った俺は、早々にシャワーを切り上げ浴室を後にした。  それなのに――。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加