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寝室で直人を抱きすくめ、「限界だ」と告げた俺を、直人はいとも簡単に突っぱねた。
その後すぐさま電気をつけられ、完全に彼から拒絶の意思表示をされてしまった俺は、モヤモヤとした気持ちを抱えたままその場へ立ち尽くす。
と、
「宏哉、寝ちゃったから私も手伝う!」
ある意味最悪のタイミングで美咲がやってきた。
「――予備の布団はこっちだ。適当に出して使え」
そのままそこへ突っ立っている気にもなれず、美咲に押し出されるように寝室奥の扉へ向かうと、俺はウォークインクローゼットを顎で指し示した。
中には、今まで一緒のベッドで眠ることを拒まれる要因になるだろうと、直人にバレないよう圧縮して奥のほうに仕舞いこんでいた客用の布団が二組入っている。
とりあえず急な来客に備えて用意しておいたものだが、ここへ越してきて今日に至るまで使ったことはない。
本当なら一度天日干ししてから使うほうがいいことは分かっていたが、何せ急な話でそれどころじゃなかった。
(布団があるだけマシだと思え)
直人への当て付けで、半ば自棄を起こした頭でそう結論付けると、俺は二人を残してそこを後にした。
背後から直人と美咲が何か言う声がしていたけれど、聞こえないふりをして――。
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