8...後悔と【Side:三木直人】

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 8...後悔と【Side:三木直人】

(ああもう……。なんだってあの人はあんな風にしかできないかな)  彼が寝室に姿を消して、一時間近くが経つけれど。  俺は何度となく枕もとに置いた携帯を眺めるばかりで、一向に眠くならなかった。  これと言うのも、先刻の彼の態度に問題がありすぎるからだ。  本当なら、ひとこと言ってやりたかった。「いいかげん、時と場合を考えろ」って。  でも、子供たちの耳がある手前、結局それも言えなかった。  結果として言えたのは「ちょっとくらい待て」とか、「バカ」とか、そんな言葉。  裏を返せば、それも「状況次第なら別に嫌じゃない」と言う意味を一応含んではいたんだけど、 (伝わって……ねぇよなぁ……)  無理やり寝ようと目を閉じても、今度はその時の逸樹さんの顔が頭に浮かんで、余計眠れなくなりそうだった。
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