8...後悔と【Side:三木直人】

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(――うわ、何か置いてある)  が、間もなく目に入ったその光景は、あっさり俺の期待を裏切るようなもので。  一応出入りできる大きさの窓は付いていたものの、普段は全く開け閉めしていないのか、その正面には一つの大きな箱が置いてあった。しかも、いつから触っていないのか、その表面には砂埃が積もっている。 (……てか、何これ。何が入ってんだろ)  当初の目的を忘れたわけではなかったが、気になりだすと止まらない。  俺は目先の好奇心に負けて、不躾にもじろじろとその箱を見回した。  箱はよくあるダンボール。だが大人がひとり入れるかと言うくらいの大きさだ。  暗がりだからか、元からなのか、外装にそれらしい文字も見当たらなくて、俺はこんなのは駄目だと思いながらも、とうとう我慢しきれず箱の蓋に手をかけた。 「何をやってる」 「!」  刹那。俺は思いきり悲鳴を上げそうになった。  そうしなくて済んだのは、彼が俺の口を塞いだから。 「……窓、開いてたんだ」  本当に、口から心臓が飛び出そうだった。  俺は当然のように未だ早鐘を打ち続ける鼓動を抑え、小さく返した。  どうやら反対側の窓は最初から開いていたらしい。  そのくせカーテンが揺れなかったのは、単にそれだけの風が無かったから。 「……て、言うか。まだ起きてたんだな、逸樹さん……」  ああ、何かいろんな意味で居た堪れない。  そうひしひしと感じた俺は、とにかく場を濁そうと努めて笑って見せた。
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