10...求めるのは【Side:三木直人】*

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「何日触れてなかったと思ってんだ。お前はそれで平気なのかよ」  襟元を掴むようにされていた手が徐に緩められ、急くように下方へと落ちていく。落とされる呟きは唇を肌に触れさせたままで、 「…別に、平気……な、わけじゃ……、ん…、っ…――!」  それすらもどかしく、最後まで言い返すこともできない。  下方へと落とされた彼の手は、容易に下着の中まで入り込んできて、唐突に俺の昂りを握り込んだ。  薄く雫を浮かせる先端に爪先を押し付け、わざと聞かせるみたいに水音を響かせる。徐々に足に力が入らなくなり、逸樹さんが指先を何度か上下させると、それだけでガクンと背中の位置が下がった。  俺は彼の服を掴んでいた手に力を込めた。彼を制しようとするわけじゃなく、寧ろその先を求めて縋り付くように。 「…直人」  すると彼は、一変して切羽詰まったような声で名を呼んだ。  涙に滲み、半ば虚ろになっていた眼差しを彼に向けると、その視線がかち合ったと同時、彼は一気に俺の服を下着ごと足元まで引き摺り下ろした。  今にも達しそうなところで放り出され、うわ言めいた懇願が口をつきそうになる。  だがそんな暇もなく、彼は枷のようになっていた俺の衣服を片足側だけ抜きとると、 「――言っただろ、限界だって」  早急に膝裏を抱え上げ、自らの屹立をその狭間へと宛がった。
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