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11...埋まらない心【Side:山端逸樹】
実際、酷く抱き過ぎた、と反省している。
性急にバルコニーでことを済ませた俺だったが、それで落ち着くどころか、突如しがみつくようにして直人からキスされたことで、完全にタガが外れてしまった。
直人は、求めると躊躇う傾向がある。
しかし、それを許さず執拗に責め続ければ、割と火が付きやすいところも持っていた。
性的なことに関して言えば、一見淡白な印象を与える直人だったが、ある一線を越えた瞬間から歯止めが利かなくなることが多い。
そうなれば、直人は大抵のことを許容してくれるのを俺は経験上知っていたから。
そのギャップが愛しくて……俺は直人のそんなところを利用して……気が付けば、いつも無理をさせてしまうのだ。
そして、昨夜は特にそれが顕著だったように思う――。
寝室には俺と直人の二人きりだったけれど、すぐ隣の部屋に子供たちが寝ていることで、直人は声を押し殺すのに相当神経を使っていた。
そのせいでいつも以上に消耗が激しいことに気付いていて、それでもどうしても俺には彼を放してやることが出来なかった。
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