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(つか、今何時……?)
俺は昨夜――バルコニーに出た後――から放置しっ放しだった自身の携帯を拾い上げた。
(六時半か……)
なんなら朝食の用意をしておくのもいいけれど、それにしてももう少ししてからの方がいいかな。
俺はすっかり着替えを済ませていたのをいいことに、ジーンズのポケットに携帯を戻し、
(ちょっと風に当たるか……)
結局またバルコニーに続く窓を開けた。
「…へぇ、結構見晴らしいいじゃん」
昨夜と同じように、俺は端まで歩いていくと、今度は手摺に腕を組んで顔を乗せた。
乾きかけの髪をなびかせる風は涼しいと言うよりは冷たくて、でも風呂上りの俺としては却ってそれが丁度良く感じたりもする。
暫くそうして風に当たっていると、不意に背後から、カラカラと窓が開く音がした。
「……?」
誰だろう、いや、寧ろどっちだろうと、視線をそちらに転じると、
「…っ」
次いでガン、と何かが何かにぶつかるような音がする。
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