14...優先順位【Side:三木直人】

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「……苛々するなよ。そんな顔されたら、俺、自分がどうしたらいいのか解らなくなる」  射るように真っ直ぐな眼差しに堪えられず、俺は僅かに顔を背ける。 「逸樹さんは、解ってないんだよ」 「何が」 「俺がどれだけ覚悟を決めて、ここにいるか」  呟くように言うと、逸樹さんは小さく眉を潜めた。 「後悔……してるのか?」 「してねぇよ」  即答すると、ますます真意が読めないとばかりに逸樹さんの顔が曇った。俺はひとつ吐息して、 「だからさ。そうさせない為にも、逸樹さんはもうちょっと……」  改めて、先刻バルコニーで言い損ねた言葉を告げようと口を開く。  ――が、結局また同じところで言うのを止めた。 「……もうちょっと、なんだよ」  するとその先を急かすように逸樹さんが口を挟む。その表情は、さっきまでに比べるといくらか落ち着いているように見えた。  まぁ、別の意味で焦っている風ではあったけど。  俺はそんな彼の肩にぽんと手を置いて、 「大体、子供たち(あいつら)とアンタを比べること自体間違ってるだろ」  思い出したように苦笑混じりにそう返す。
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