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ぐったりと眠る彼の枕元へ、三万置いて部屋を出た。
目が覚めたら好きにするだろう。
終わった後の相手のことは、考えないようにしている。
肌を重ねれば情が芽生えるなんて嘘だ。
どんなに激しく抱いても、俺は心から満たされたことがない。
(いい加減な関係をやめない代償だろうか)
ふとそんなことを思って、一人苦笑する。
(どうでもいいけどな)
愛だの恋だの騒いで他人に翻弄されるのはごめんだ。
左肩にかけたリュックを持ち直すと、俺は暗くなっても尚、通行量の減らない夜の街を歩いた。
横断歩道の向こうに、一際明るい照明に照らされてコンビニが建っている。
それを見て、俺はふと思い出した。
(そろそろ無くなりそうだったな……)
いつでも鞄に忍ばせているゴムが、さっき使ったので残り一個になった。
生で犯るのは俺の性分じゃねぇ。
買い足しておいたほうがいいだろう。
夜のコンビニは、幸い男の店員が多い。別に女が居たからと言って気にしやしないが、何となく同性のほうが買いやすいのは確かだ。
(信号も丁度青に変わったことだし)
そう思った俺は、コンビニを目指して道路を横断した。
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