01...退廃【Side:山端逸樹】

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 ぐったりと眠る彼の枕元へ、三万置いて部屋を出た。  目が覚めたら好きにするだろう。  終わった後の相手のことは、考えないようにしている。  肌を重ねれば情が芽生えるなんて嘘だ。  どんなに激しく抱いても、俺は心から満たされたことがない。 (いい加減な関係をやめない代償だろうか)  ふとそんなことを思って、一人苦笑する。 (どうでもいいけどな)  愛だの恋だの騒いで他人に翻弄されるのはごめんだ。  左肩にかけたリュックを持ち直すと、俺は暗くなっても尚、通行量の減らない夜の街を歩いた。  横断歩道の向こうに、一際明るい照明に照らされてコンビニが建っている。  それを見て、俺はふと思い出した。 (そろそろ無くなりそうだったな……)  いつでも鞄に忍ばせているゴムが、さっき使ったので残り一個になった。  生で犯るのは俺の性分じゃねぇ。  買い足しておいたほうがいいだろう。  夜のコンビニは、幸い男の店員が多い。別に女が居たからと言って気にしやしないが、何となく同性のほうが買いやすいのは確かだ。 (信号も丁度青に変わったことだし)  そう思った俺は、コンビニを目指して道路を横断した。
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