13日の金曜日-2019-【Side:山端逸樹】

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*** (で、これは一体何の罰ゲームだろうな!?)  さっきから画面に映し出される映像と、恐怖心を煽りまくる音声に、俺はかなり引き気味で。  よく考えたら、子供の頃からホラー系はあまり得意ではなかった。  いつも観るのは動物番組とかニュースとか……あとは何も考えなくても流しておけるバラエティ番組とかだったわ、俺。 (ちょ、マジ、最悪……)  直人が、映画館っぽくしたいと言って、部屋の電気を消してしまったのも多分よくないんだと思う。  画面の明かりにほのかに照らされた直人の横顔を盗み見ると、俺の気も知らねーで夢中になって映像に観入ってるし!  いや、だからこそ、だ……。俺は敢えて映画から意識をそらすと、横に座る直人に出来るだけ集中した。  画面を観ていたら、下手するとジェイソンが物陰から飛び出してきただけで、身体が飛び上がりそうになるし、それを直人に気付かれるのは絶対嫌だと思ってしまう。  こんな時でさえ、やはり直人(こいつ)の前ではかっこよくありたい。  俺は考えた末に、ジリジリと後ろに下がると、直人を後ろから抱き抱えるようにして座り直した。 「……逸樹さん?」  急に後ろから俺に包み込まれて、直人が画面から目を離して俺の方を振り返る。 「……気にせず映画に集中してろ」  努めて冷静に聞こえるように低めに声を出して直人を(いさ)めると、俺は後ろから彼の両頬を挟んでテレビの方を向かせた。
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