続・13日の金曜日-2019-【Side:三木直人】*

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「っ……もう、無理っ……」  咳き込んだ拍子に、口端からこぼれ出た液体が首筋を伝う。  もう何度そうされたか分からないその残りを嚥下して、俺は水膜に滲む眼差しを逸樹さんに向けた。 「まだ一缶空いてねぇ」 「っ全部、飲ませる気かよ……!」 「大した量じゃねぇだろ」  そう言って目を細めた逸樹さんの手には、俺がまだ手を付けていなかった缶ビールが握られていた。  それを逸樹さんは、一回一回口移しで俺に飲ませてくるのだ。  それも、信じられないことに、 「あっ……や、いまっ……動く、なぁ……!」  身体をしっかりと繋げた状態で――。  逃げたいように身を捩らせてみても、逸樹さんの片手は俺の太腿を押さえ込んで離してはくれない。  俺の髪も顔も、捲り上げられただけのパーカーも、もっと言えばリビングの床――周辺のラグまでそのせいでびしょ濡れになっていたけれど、そんなことには一切お構いなしで、 「っや、……もう、いらなっ……」 「遠慮すんなよ」  言うなり、逸樹さんは俺の前でまた一口ビールを呷る。
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