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「アンタ、マジ最低……」
いまだアルコールの抜けきらない俺は――いや、まぁ原因はそれだけじゃないけど――依然として頭も足取りもふらふらだった。
それでも、一度と言わず体内に注がれた熱は嫌でもこぼれ出てくるし、結果、身体を拭くだけではどうにもならないと思った俺は、不本意ながらも逸樹さんに支えられつつ、共に浴室へと向かったのだった。
「どうせ掃除するのは俺だ」
「そういう問題じゃねぇ……」
唯一残っていたドロドロのパーカーを脱がされつつ、せめてもと悪態をつく。
身を押されるようにしてドアを潜ると、浴室内はほどよく空調が効いていた。
俺は促されるまま、姿見の前に置かれた真っ白なバスチェアへと腰を下ろす。
「洗ってやるから許せよ」
「だからそういう問題じゃねぇって……」
言いたいのはモラルの問題だ。
だけど多分、逸樹さんはそれと分かっていて取り合う気はないのだろう。
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