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(っていうか、この人、どっかで見たことあるような…?)
学校の帰りに目に付く工事現場。そこに同じ科の女の子が憧れてる男がいて、先日、望むとも無く遠目に教えて貰った相手が、確か似たような背格好だった気がする。
もし本当に同一人物だとしたら、この男はこんな外見をしていながら土方仕事してる人ってことか。
それならまぁ、飲む酒の量も半端なさそうってのもわからないでもないけど、それにしても、凄い量ですね。チャンポンですし。
と、思わずにはいられない。
その所為か、出された万札を受け取り、そのお釣りを返す際、
「…こんな飲んだら」
朝起きれなくなったりしないんですか――。
と、うっかり口走りそうになって、俺はまたしても内心ひやりとする。
俺が深夜の客にうっかり営業トークを披露してしまうことは珍しいことでもなかったけど、それは向こうもこっちをいつもの兄ちゃんだと認識してくれているような常連さんに限っての話だ。
だから、少しばかり動揺してしまった。動揺してしまったから、そしてそう、きっと極度の眠気もあったから、次に出てきた言葉があんな変な方向に行ってしまったんだと思う。
だってそうでなければ、まさか初めて口を利く相手――しかも単なる店のお客さんに、
「…こんな飲んだら、――勃つもんも勃たなくなりません?」
なんて、いくらなんでも言えるはずがない。
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