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コンビニに入ると、睨んだ通り店員は男だった。
雰囲気からすると大学生ぐらいだろうか。
俺よりほんの少し背が低そうだが、小さいという印象はない。すらりと伸びた手足に、整っているけれど冷たさを感じさせない人好きのする顔。
彼のまとう温かな空気が、俺なんかと違って友達は多いだろうなと想起させる。
柔らかい印象を与えるダークブラウンの髪が、蛍光灯の明かりの下で揺れていた。
俺が店内に入ったと同時にお決まりのセリフでお愛想をしてくれたが、眠くて仕方ないらしい。
覚醒していれば目を惹くハンサムだろうに、生憎今の彼はとろんとした表情をしていた。そのギャップがとても印象的で。
(オマケに何だ、その潤んだ目は――)
本人は必死に堪えているつもりなんだろうが、噛み殺した欠伸が睫毛を涙で濡らしていた。
店内をざっと見渡すと、どうやら客は俺一人のようだ。
ここへ来るのは初めてだが、これは結構当たりだったかも。
そんな風に思って、表情に出さずほくそ笑む。
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