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「全く、『フォンテンヌブロー』の『ボナパルト』の様な気分だ・・・。」
僕は馬の手綱を取りながら、横座りで後ろに座っている君に言った。
「そう?どちらかと言えば『シュタイナー』か、『ヴェンク』の・・・あるいは『ヨラッセ』かも・・・。」
君の言葉に僕は答える。
「誰の事をいっているんだい?」
「知らないの?『ヒトラー』が待ち望んだ『ベルリン』の解放者よ?」
「『ヒトラー』・・・?」
「・・・貴方の世界からは20年後の世界だった・・・ごめんなさい。」
僕の言葉に君は、ぱさりと漆黒の翼を下げて少し悲しそうに言った。
僕は何も言わずに君の頭を撫でて、馬の手綱を取った・・・。
僕達の周囲には行進する兵士の列・・・列・・・列・・・そして、地面を震わす数万の軍靴の響き・・・夏の風が辺境伯の軍旗と、帝国旗を靡かせていく・・・。
僕達は首都『オルキデ』へ確実に近づいていた。
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