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翌日、鷹雄に全てを一任された静は水族館に居た。
海の上に施設を作り、施設の下の海の中を自動制御で動く潜水艦に乗って探索できるシステムで、これを水族「館」と呼んでいいのかは不明だが、この時代ではこれを「水族館」と呼んでいる。
静が何故こんなところに来ているのかと云えば、無論一人で密室の潜水艦に乗る為ではない。二人乗りの潜水艦の中には彼の他に明るい茶色の短髪に、赤い細身の指輪を左手の薬指にはめ、赤いリストバンドをしたボーイッシュな女が乗っていた。
怪盗「KING」の参謀『クロウ』お抱えの情報屋、『QUEEN』のマスターである武神 昴(タケガミ スバル)。
時々『ミリオン・ダラー』にも参加するので、『レミントン』同様彼女は他の『KING』メンバー達とも面識があり、仲が良い。
ただ、彼と彼女の関係はそれだけではなく、ほかのメンバーに知らせていない関係もある。つまりはこの二人も鷹雄達同様恋仲なのだ。
どいつもこいつもリア充なのである。爆発すればいいのに・・・。
「で?静、何か話があるんでしょ?」
「ん?何のコト?今日はただのデートだよ。『鶚(オスプレイ)』」
「嘘。静がプライベートでウチを『オスプレイ』と呼ぶ時は、大体隠し事か仕事の依頼をしたい時だもん」
「・・・俺の馬鹿。あっけなくバレてんじゃん・・・」
苦笑する静に昴はじっと彼を見つめている。
鷹雄といい、静といい、『KING』の男は隠し事が苦手なのだろうか?
「お察しの通り、俺はお前に頼みがある。このデートは・・・まぁ、俺がお前に会いたかったンが8割と1割が謝罪、残りが下心とその他・・・」
「今更ご機嫌取りなんてしなくてもいいのに。ウチが『KING』の依頼を、静の頼みを断ったことなんて一回もないでしょう?」
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