ACT. 2 烏の頼みと鶚の頼み

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  この時代の建物にしてはレトロな雰囲気のバーである、静の店に帰ってきた二人。 店の扉を閉めた静は何かを云うよりも先に彼女を抱きしめた。 「静?」 「・・・・・・。」 「ねぇ?『KING』は『QUEEN』に何を頼みたいの?」 何も云わず、ただただ自分を抱きしめる静の背を撫でて昴は静かに問う。 その質問に暫くだんまりを貫いたあと、彼は重い口を開いた。 「・・・正直、今回のこの仕事をお前に頼んでいいのか・・・オレはまだ、迷っている」 「ん?」 「何時もよりも危険な仕事なんだ。『レミントン』に声をかけるほど、今回の相手は得体が知れない・・・」 「『レミントン』?盗難品の回収なのに、彼女が…スナイパーが必要なの?」 KINGの仲間同様、驚きを隠せない昴に静は頷いて見せた。 「云ったろ。得体の知れない相手だって・・・」 「・・・それで?」 「オレの抱えている情報屋で一番良い仕事をするのはお前等だと思ってる。今も昔もだ・・・だから、『クロウ』としてのオレはお前等に頼みたい・・・が、お前の恋人としての『静』のオレは・・・お前に危険な橋は渡らせたくない」 一層強く抱きしめて、静は昴に囁く。 「けど、得体の知れない相手だからこそウチの情報が必要なんでしょう?」 「っ、嗚呼」 「だったら、『静』じゃなく『烏』になるべきでしょ?大丈夫。どんな相手も上手くやるから・・・無茶はしないから・・・」 未だ迷っている様子の、情けない顔の静。 昴はそんな彼の頬を両手で包み、彼の顔を覗き込み微笑んだ。 「ほーら、早くお願いしなさい?何時もみたいにさ。ね?『KING』の参謀さん?」 「・・・そうだな。『オスプレイ』、今回の作戦にはお前の情報収集能力がいる。俺に、『KING』に力を貸して欲しい・・・」  
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