PROLOGUE

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  遊園地のベンチに座る、一組の男女。 男は隣に寄り添う女を見た。 すると、丁度彼女も彼を見ていたらしく、二人の視線がぶつかる。 どちらともなく微笑み、そっと手を繋ぐとある一点にへと視線を戻した。 煩いくらいの様々な音や会話、音楽が混じり合う。 ここ最近で一番生きた心地がするこの時間が、男にはどうしようもなく嬉しかった。 「…なぁ?  **** ?」 「なぁに?」 「俺、今スゴク幸せな気分…」 繋いだ手に力を込めて、男はしみじみとそう告げる。 女は彼の言葉に暫し考え、こう返した。 「そうだね。私も幸せだよ…  **** 」 怖いくらいにね? っと、微笑む彼女の視線はある一点を見つめたまま動かない。 男も同じようにソレを眺めながら満足そうに頷いた。 彼らの視線の先には、メリーゴーランドの白馬に乗り、嬉しそうにはしゃぐ少女とそんな彼女を支える青年が居る。 ふと青年の方が二人の視線に気付き、自分の目の前に座る少女の肩を軽く叩き、ニッコリと二人を指差した。 少女はその指の先に居る男女を見つけると、更に嬉しそうな顔で手を振る。 「今の仕事を辞めようとは思わないが、もう暫くはこのままで居てェなァ?」 楽しそうな自分の弟と娘、そして手を振る二人に手を振り返す妻を眺めながら 男は誰に云うわけでもなく呟き、ここ最近の出来事を振り返った。 ◇
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