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それもそのはず、この店『KING』はまだ開店前なのだ。
しかし、メッシュなマスターはそんな事気にも留めず赤髪男に問う。
「いらっしゃい。何にします?」
「・・・『ミリオン・ダラー』」
「初っ端からかよ・・・相変わらずのせっかちは健在ってか?」
「そのために俺を呼んだのはアンタだろ?マスター・・・否、『烏(クロウ)』先輩」
「そうだけどよ・・・此処はバーだぜ?一杯くらい飲んでくれたってイイっしょ?『狼(ウルフ)』」
『クロウ』と呼ばれたマスター…鴉播 静(カラスマ シズカ)は、自分を睨み付ける後輩、『ウルフ』…明夜 有留伏(アカヤ アルフ)にそう告げ、態とらしく溜息を吐いて見せた。
「嫌だよ。それに、この店は今開店前。開店前か閉店後、若しくは休業日に集まるのが規律(ルール)だったはず。だから、開店前のこの店に金を払う気はこれっぽっちもないし、俺は『Million$(ミリオン・ダラー)』があるってアンタに呼ばれたから此処に居るのであって、(金を)増やす気はあっても使う気は今日はないんだけど?」
「えー」
「そもそも、今日車だし」
「いいじゃん。車置いてけばいいだけの話だろ?俺送ってくし。それに『猫(キティ)』と『鷲(イーグル)』がまだ揃ってないんだしさ。どうせ皆揃わなきゃ始まらないよ?『ミリオン・ダラー』は」
「でも、先輩?『イーグル』先輩と『キティ』ならもう来た」
有留伏そう云うのと同時に、再びバーの扉が開き此方に向かってくる足音が2つした。
「相変わらず、耳の宜しいこって・・・」
流石イヌと、静は苦笑する。
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