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廊下の曲がり角まで来た時、ようやく美鈴のいく先が分かった。
角を曲がった数メートル先は保健室だ。
「ち、ちょっと美鈴!今、仁ちゃんに会うなんて困る」
スタスタと前を歩く美鈴の前に回り込んで彼女のいく先を塞ぐ。
すると、美鈴は私の腕をガシッと掴み、そのまま私を引きずるように歩き出した。
「ちょっと美鈴!」
「なんで困るのよ。西村のせいで愛がこんなに弱っちゃってるんでしょ?だったら西村が解決するしかないじゃない。
それとも、愛の気持ちを受け止めるだけの器がないの?あの男には」
クルリと私を振り返る美鈴の顔は、怒りの色が浮かんでいる。
たぶん、私がウジウジと悩んでるから、遂に美鈴を怒らせてしまったんだろう。
「ごめんね。いつまでもこんな調子じゃ気分悪いよね」
美鈴の怒りはもっともだと思う。
私だって隣にいつまでも私みたいなのがいたら嫌だ。
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