迫り来る波

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だけど、何でって嘆いたって、 仁ちゃんは教師で私は生徒。 その関係は、仁ちゃんが先生を辞めるか、私が学校を辞めるか、晴れて私が卒業する日まで続く。 だから、そんな事を悲観しない。 今だって叫べない分早く辿り着けばいいんだ。 そうやって自分を叱咤する。 このところ、何か落ち込みそうになったときには自分の気持ちが沈まないようにそう言い聞かせる。 『辛いときはすぐに言うこと』っていう仁ちゃんの言葉は、私にとってお守りみたいなものだけど、でも、仁ちゃんの負担になりたくはない。 だから、自分で耐えられる事はなるべく耐えて、強くなろうと思う。 なのにーー 自動販売機には食堂の中を回り込まなくちゃ行けない。 勢いよく食堂へ駆け込んだ私の目に、自動販売機側の扉から見えた仁ちゃんと…… 「宮沢先生……」 それまで全速力で動いていた足が、二人の姿を見た瞬間パタリと止まった。 自販機で買った缶コーヒーをポンポンと投げながら、宮沢先生と笑顔で話す仁ちゃん。 宮沢先生の顔は、『女』を匂わせるような媚びた笑顔が張り付いている。
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