迫り来る波

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すると亮太は「だから言ったのに」と私の右頬に手をあてた。 亮太の手のひらが温かくて、余計に私の心を弱くする。 堪えていた涙はついに一滴ポロっと流れ、それを追いかけるように次から次へと流れ落ちる。 「上手くいかないね。俺なら泣かせないのに」 涙で上手く声が出ない私は、うんうんと頷くだけ。 そんな私を見て亮太が苦笑する。 「だけど、愛が選んだのは西村なんだから頑張れ」 ポンポンと頭を撫でられる。 突き放す訳じゃない絶妙な温度を感じさせる亮太の声。 もう声を殺して泣くことなんてできなかった。 わんわんと子供のように泣き出す私を見て、クシャクシャと私の髪を撫でた亮太は「仕方ないなぁ」と私の頭を自分の胸へと引き寄せた。 「……ありがとう…亮太ぁ」 「いいって。愛はいつも我慢しすぎ。もっと頼ればいいんだよ。男は頼られると嬉しいもんだよ」 「………うん」 言葉をかけながらも、頭を撫でる亮太の手は止まることはなくて、その心地よさと暖かさで、凍り固まっていた心がゆっくりと溶けていくような気がする。 フツフツと頑張る気持ちも生まれてくる。
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