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「ママぁ~そんな大きなカバンを持ってどこに行くの?」
「萌…………ごめんね」
「何で謝るの?」
「ごめんね?」
「どういうこと?」
「ママねぇ、パパと離婚をしたの」
「え?」
「だからこの家を出て行かなきゃならなくなったの」
「えっ、イヤだよ」
「ごめんね萌」
「イヤだ。萌も一緒にイク」
「ごめんね萌。それは無理なの」
「何で? イヤだよ。萌も一緒に連れて行って」
「ごめんね萌。裁判でそう決まったの。だからママも萌と一緒に行きたいけど、ムリなの。ごめんね」
「裁判ってなに? そんなの知らないよ。ねぇママ、萌を置いて行かないで」
「萌、萌、大好きよ。ママは萌のことが一番好き。このまま…………」
「このまま?」
「一緒に死んじゃおうか?」
「え? それはイヤだよ。死んじゃダメ」
「そうだよね。死んじゃダメだよね」
「ママ…………」
「ごめん萌。ママもう行くね。元気でね」
「ママ、ママぁああ~~~」
萌は目を覚ました。
涙が溢れている。
父と離婚した母と、最期に交わした会話のシーンの夢だった。
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