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スーツはびしょ濡れで、泥を跳ねたような跡も見てとれる。相当急いでいたようだ。
「助かったよありがとう。……ええと、私は河井だ。貴方は?」
「山野だ」
河井にタオルと着替えを渡したが、河井はタオルだけ受けとると、その緑色の身体を拭き始めた。
「全く困った話だよ。法律が出来たから安心して世に出てきたらこれだ。人は金に汚いのだな」
「まあ、今でも慣れない人はいるんだろう。神話の世界の生き物達が世の中に現れたのは、かれこれ二十年程だからな」
「だからと言っていきなり命を狙ってくることはないだろう!なんだ、河童なら簡単に殺れるとでも思っているのか!雪女なんか命を狙われるどころか、理想の結婚相手ランキング一位だ。この差はなんだ!」
河井はそう喚き散らしたあと、電源が切れたかのように静かになった。
「取り敢えず、朝までここで過ごしていいか?」
「好きにしろ」
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