第1章

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「鳥居様、おいでください」 少女は紙に描いた、大きな鳥居を見下ろしながら熱心に祈っていた。締め切った部屋、閉じられたカーテン、真っ暗な部屋の中に少女の呟く声だけか響く。一心に誰にも届かない祈りを捧げていく。 パンッとひとりでにノートパソコンが開く、少女はそちらを見た。カタカタと勝手にキーボードが文字を打ち込んでいく。少女はその言葉を読みながら頷いた。 【某掲示板オカルトサイト】 『なぁ、最近、鳥居様っておまじないが広まってるの知ってる?』 『知ってる。つーか、昨日のバラエティー番組で、なんだったっけ、ほら、一時的にブームになった芸人がいたじゃん、そいつが話してた』 『ああ、一発芸のあいつな、最近じゃクイズ番組にも出てるみたいだけど、ぱっとしないよな。で、その鳥居様ってどんな話だった?』 『さぁ? 俺も適当に聞き流してたし、その芸人も誰かから又聞きって感じだったから信憑性は低いぞ。ま、鳥居様の噂が広がってるのは確かみたいだけどさ』 『使えねー』 『じゃあ、自分で調べろよ』 【とあるラジオ番組、投稿記事】 『みなさん、おはよー、朝のニュースをお届け、アキラでーす。さて、今朝はこのニュースからお届け!! 最近、噂になっている鳥居様!! どんな内容かって聞かれると、十人中、十人が別の答えを出してしまうという異色の怪談、しかし、その広まり方は並大抵のものじゃない!! アキラは、こう思うね。鳥居様は、現代が生み出した新しい都市伝説なのだっ!! ツイッター、SNS、ブログなどなど、世界各地で繋がる手段はいくらでもあるっ!! 当然、噂だって光の速さで広がっていく。そうなると噂がどこで生まれたかなんて、すぐにわかんなくなるわけだな!! けど、アキラはーーーー』 【都内にある小学校の全校集会、校長の話】 『えー皆さん、最近、この学校でも鳥居様などというくだらない遊びをしてる子がいるそうですね。紙にアイウエオ順の文字、そして、そこに置く十円玉が動けば、それが鳥居様の来たことになるなどと勝手なことを言いふらして、みんなを不安にさせるようなことはやめましょう。鳥居様なんて言うのは、迷信です。いいですか? 今後、こんな遊びをしている子が居た場合、すぐにやめさせますからね』 【ツイッターのコメント】 『なんか、俺の友達が鳥居様やったって』 『嘘? つーか、鳥居ってなんなの?
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