第1章

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扉に何度も殴りつける音が響き、そこでプツリとカメラの視界が暗転し、教室を映し出した。 「ねぇ、ちょっとおかしいって、山田の奴、どこにいっちゃったのよ。どうして、カメラだけが教室に投げ込まれてくるの!?」 「知らないわよ。それより、教室の扉が開かないのってどうなってるの? 鳥居様っていったいなんなの!? ねぇ、百合、黙ってないでなんか言ってよ」 「たぶん、鳥居様に終わらせないといけないんだと思う。真優がいなくなったのは、怪談を語ったあとだったし」 後藤百合はおずおずと答えた。 「それって山田と同じ末路を辿れってことでしょ? ビデオカメラには何も写ってないし、どういうこと!?」 「ギャンギャン、うるさいなぁ。とにかく誰かがやらなくちゃいけないのよね。じゃあ、次を決めましょうよ」 ビデオカメラがガタガタと動かされ、その後、後藤百合の顔がビデオカメラに写された。 『…………これは鏡にまつわる怪談、とある小学校に一人の女の子がいた。女の子はオカルトや怪談が好きで、学校にある七不思議や怪奇現象を調べていた。めぼしい怪談は調べて、最後、学校の校舎の中には、夜になるとどこかに現れる不可視の鏡が現れる。その鏡に姿を写すと鏡の世界にその身を引きずり込まれ死んでしまうというものだった。 女の子はその怪談に興味を持った。鏡の向こう側にはどんな世界があるのだろう? 好奇心に突き動かされ、女の子は学校に忍び込み、毎晩、探し回りそして最後に見たのは、彼女が校舎に忍び込む姿だった。女の子が、その後、どうなったか誰も知らない』 後藤百合は話し終えて、自分の名前に赤線を引いた。たんたんと後藤百合はビデオカメラを持って、教室の扉に手をかけた。あっさりと扉が開き、視線が集まり思わず、後藤百合は振り返ってしまった。 そこには残りのメンバーの驚愕の顔、そして後藤百合は数十本の腕に引っ張り込まれていく、上も下も右も左もない鏡の世界へ。 ゴトリとビデオカメラだけが床に落ちて、ピシャリと教室の扉が閉じられる。 「ヤバいって、さっきの見たでしょ?」 「うるさいなぁ。だから、落ち着きなって!! 梓川はいつもうるさいんだよ!!」 梓川美保は金切り声をあげた。山田真優、後藤百合が消えた。残りは三人、怪談を語るごとに消されていく。これはもう確定だ。しかし、外に出ようにも扉はガッチリ塞がれて、出られないけれど、山田真優は
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