第1章

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何、言ってるの? どうして、みんなが同一人物みたいな言い方してるの?」  「説明しなきゃダメ? だって彼女達は扉でしかないんでしょ? 彼女達に興味を持った者を誘い込み、食い殺すための餌であり、扉。鳥居みたいなものよ」 日本刀を持った少女は言う。日本刀の切っ先を向けた。 「貴女はインターネットに巣くう悪意の塊、様々な情報を餌にして、興味を持った者を引きずり込む怪物」 「…………」 「鳥居様、ネットアイドル、鳥居円加、オカルトブログに、非公認アイドルのコメント、数多くの情報の窓口を繋ぎ、深入りきてきた物達を異世界に誘い込み、いたぶり殺してたんでしょ?」 手を変え、品を変えて、ネットに溢れる情報に根を張って、獲物がかかるのを待つ。彼女達だって、もとは人間だったはずだが、今は彼女の手足となっている。 「だから?」 ネットの怪物は尋ねる。 「私の正体を看破したからってどうにかなるの? インターネットは今は世界中に広がっている。私を倒すことはインターネットという電子世界を破壊するのと同じなのよ? その意味がわかってるの?」 「言っておくけど、私はネットの怪物を斬りにきたわけじゃないわ。『鳥居』にまつわる呪いを斬りにきたのよ」 「どっちも同じでしょう!! どうやっても私を斬ることはできないのよ!!」 斬ったとしてもすぐに復活できる。いくらでもバックアップはある。そのはずなのに、防いでも防いでも、彼女の刃が切り裂いていく。 「どうしたの? さっきまでの余裕がなくなったみたいだけど、力が無くなってない?」 「っ!? そんなわけがない」 数多く語られたうちの一つ、鏡の怪異で少女を取り込もうとするが、日本刀の一太刀で切り捨てられてしまう。 「あなたはネットに溢れる噂から力を発揮する呪いけれど、その噂が下火になったら、その力も半減するでしょ?」 正体不明の都市伝説。鳥居様、その怪異の特徴は実態を掴めない曖昧さにあった。しかし、正体不明が明らかになったら、そんなのはつまらない。 「噂とかそういったのって、すぐに忘れられるでしょ? つまらないことをいくら覚えておいても意味ないもの」 「やめ。ちょっと遊んでただけじゃないねぇ!? 貴女にどんな理由があって斬るのよ!?」 「貴女が呪いで、私が貴女を斬らなければならないから」 いや、ネットの潜む悪意が悲鳴をあげ、少女はまっすぐ日本刀を振り下ろした。
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