第二章

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“初めまして” 枕元に来た彼。 私は戸惑いながらもそう書くと、彼は自然な動きで私の筆を奪って “齋藤 一 以後、宜しく頼む” 横にそう並べた。 洗礼された字は、この時代の住人でない私の目から見ても、達筆であることがわかる。 並んだ私の字がすごく拙く子供っぽくみえて、なんとも言えない恥ずかしさに苛まれた。 “調子はどうだ” “だいぶ落ち着いています。 身体の方はまだ動きませんけど” “そうか、あまり無理をしない方がいい。 ここでの暮らしは慣れたか” “はい。沖田さんにお世話になっているので、生活に不憫はありません” そんな感じのやりとりを何度か 繰り返したところで、齋藤さんは隊務があるからと席を外した。 “甘いものは身体に良いと聞く。 総司と二人で分けるといいだろう” 小さな星屑の、かわいい置き土産を残して。
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