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足音が遠ざかって、ついには聞こえなくなった。
齋藤 一
心の中で、彼の名前をゆっくりと呟く。
最後まで、彼の本質が読めなかった。
でも齋藤さんはどうやら、私を拒んでいるわけではないらしい。
そして、受け入れているわけでもない。
どうでもいいことなんだ、きっと。
私が此処にいようと、出て行こうと、関係ない。
ふと、彼の置き土産が目に入った。
白、ピンク、緑…小粒たちはどれも愛らしい。
知らなかった。
どんなに優しくされても、心が伴わなければ、どんな施しを受けようと心辛いものなんだって。
知らなかったんだ。
「ーーやぁ、お邪魔するよ」
それから何人かの幹部が一人ずつ訪れたところで、今日が終わった。
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