第二章

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「お疲れ様。…って、流石に疲れちゃいました?」 “少し” 沖田さんはそんな私を労うように、優しく頬を撫でる。 表情が見えない斎藤さんから始まり、温厚な井上 源三郎さん。 そして、少しワイルドな原田 左之助と真面目で大人な永倉 新八さん。 本当に、此処にはいろいろな人達がいる。 もちろん、彼らとはほんの少ししか話せてないから何にも知らないに等しいんだろうけど。 こんなにも、誰かのことをもっと知りたい。 知っていきたいと思えたのは、初めてのことだった。 だからこそ 「…どうしました?」 “なんでもない” 今の自分が恨めしい。 動けない自分に、喋れない自分に。 沖田さんの助けがなければ、生きられない自分に腹が立つ。 今日見た顔は、決して良いものだけではなかった。 温かく迎えてくれる人がいるなら、冷たく拒む人だっていた。 心のない愛想笑いに、文字を書く手が…筆跡が震えてしまいそうで、情けないとさえ感じた。
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