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ーー
花が咲いた。
沖田さんが、外に出られない私を気遣って部屋に生けてくれた花だった。
私はそっと手を伸ばして、開いたばかりの花びらを撫でた。
「ーーそれにしても、随分回復しましたね」
言葉の代わりに返すのは、かすかな微笑。
沖田さんは、そんな私にまるで花が咲いたような笑みを浮かべてくれる。
「ーー」
あの夜から三日。
たった三日。
私の身体は驚くほどに回復していた。
食事は自分で食べられるし、壁に持たれながらではあるものの、立ち上がることもできた。
沖田さんの手を借りれば、歩くことだってできる。
そして、手先の細やかな針仕事でさえも、難なくこなしてみせた。
その回復ぶりは、沖田さんはもちろん私自信を驚かせるほどに。
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