第二章

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ーーーー 「違う!何度言ったらわかるんだ」 あれ……なにこれ。 「セリフじゃなく、言葉を喋べれ。上っ面な気持ちだけで役に合わせようとするな!集中しろ」 この声…東? 「もう一回、頭から行くぞ。…返事!」 「「はい…!」」 そうだ、間違いない。東だ。 …思い出した…これ、去年やってた、県大会の稽古だ…。 人数が9人しかいなくて…、1人で何役もやったりしてたな…。 裏方も足りなくて、照明も音響も、他部の子に頭下げて手伝ってもらったっけ…。 「もう一回だ」 東、私と同じ1年だったのに…部の要で、指導も的確だった。 県大会、本気で勝ちに行こうとしてた…。 …でも、私は… 「ストップ! …もういい、今日はやめだ。」 「ちょっ、待ってよ東! 次はちゃんとやるから、もう一回だけ」 ……東の気持ちに、応えられなかった。
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