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「ねぇ、東…」
わかってる。
ヘッドホンをした東に、この声が届かないこと。
「なんで、私なの…」
わかってる。
望んだ答えなんて、絶対に返ってこないってこと。
「私、自信ないよ…」
わかってよ。
…私、これでも一生懸命なのに。
これ以上、どうしろって言うのよ。
「ーー馬鹿か、お前」
「えっ」
この時私は、本当に間抜けな顔で、素っ頓狂な声を上げたと思う。
だって、絶対に聞こえてないと思ってたから。
絶対に返事が返ってこないと思ってたから。
東は、ヘッドホンを下げて言った。
「…まえ………だろ?」
途端、視界が歪んだ。
耳鳴りがする。
え?何…聞こえない。
東?なんて言ったの?まって、行かないで!東…東ぁ??
「……だから。…頑張れよ…梅乃」
次第に遠ざかる、東の声に、私は必死になって手を伸ばした。
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