暗雲立ち込める

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結局、そのあと友理は理佳のところに 向かい、もういいよ、あんなやつ!と 捨て台詞をはいて教室を出ていった。 残される俺。 「大内くん、話、いいかな?」と 城之内さんが話しかけてきた。 目はかなり深刻そうである。 「うん、俺も話聞かないと…」 「ありがと。じゃ、ちょっと来て。」 二人で踊り場に出る。 「昨日…健太が、理佳に告白した。」 「え…!?」 「理佳は友理の気持ちもわかってるし、 理佳にも好きな人がいるから断った。 本来ならそれで終わるはずだったのに…」 「うん。」 「健太が、『優希はお前じゃ救えない。』って ポロっと口にしたらしい。」 やめろ… 気づかないフリしてた。 理佳が俺に好意を抱いてることも、気づいてた。 健太が、俺を気にしてくれてるのも気づいてた。 なのに俺が逃げた。 だから、こんなことに。 「そしたら、理佳も怒って、 『あんたに友理はもったいない!』ってほんとに思わず、 思わず口にしてしまったの…。 そしたら、健太も、もう引くに引けなくなったのか 『最初から付き合うつもりなんてねーよ。』って… それを聞いて理佳走って帰っちゃった。」 「その話、友理は知ってるの?」 「知らないと思う。 だから、今日健太に聞こうとしたんだと…」 なるほど… 林間学校で話をちゃんと 聞いておくべきだった。 俺が自分のこと話すのを嫌がって 聞かなかったから… 「大内くん、仲直りさせてあげてくれないかな…? わたしももちろん努力するけど…」 こんな俺に誰かを救う権利なんてない…
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