溝と優しさ

2/11
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
あの出来事からもう2ヵ月がたった。 まだ、仲直りはしていない。 それどころか、友理と理佳はサッカー部マネージャーを辞めた。 俺と健太は昔のようには行かないけど、 普通に話せる。 向こうは向こうで仲良くしてる。 城之内さんが俺に言った、最低限の確保だった。 誰もが一人にならないためには こうするしかなかったって。 そんな関係のまま、夏休みに入る。 結局、俺はなにも出来なかった。 いやなにもする気もなかったんだ。 俺が楽しく学校生活を送るとすぐこれだ。 もういいか、諦めようか、 楽しいとか嬉しいなんて 感情、全てなくなってしまえばいいのに。 「それじゃあ、夏休みにはめを外しすぎないように!」 「「「はーい!」」」 「みなさん、また9月に会いましょう!」 「「「ありがとうございました!」」」 クラスが一気に盛り上がる。 夏休みにどこに行くとか 宿題が多いとか… なのに…ここは静かだ。 「健太は…夏休み、部活か?」 「ん?ああ、大体な。 遊ぶ予定もないしな。」 「そっか…」 「じゃ、部活いくわ。」 「おう。」 「じゃあな。」 健太は俺に『またな』と言わなくなった。 深い意味があるかわからないが、 いつ終わってもおかしくないと 言われてる気がして、俺はどーすればいいのか わからなくなっていた。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!