第2章

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  『・・・まぁ、いい。お前、父親の事をどこまで知っている?』  寮に帰ってきてから、ツーブロックの発したこの質問が、ずっと歯に挟まった食べカスのように残っていて、具合が悪い。  父親・・・これはツーブロックがわざわざ親父の名前をだしたことから、桐島晴人で間違いない。何故、やつが親父を知っているのか。親父の何を知りたがっているのか。何の接点があるのか。  あー、モヤモヤする。  誰かこの食べかすを排除する為の爪楊枝を用意してくれ。 「ん?、・・どわーっ!!!」  珍しく無い脳みそを使って考え事をしていた為に、目の前が大変な事になっていた。  屋台十八番を部屋のキッチンで調理していたんだが、いつのまにかお湯が沸騰して、吹きこぼれた。 「やべっ、あちっ、オーマイゴッド!」  慌てて、ガスのスイッチを切り、布巾で溢れた周辺を拭き取りながら、用意していたどんぶりにラーメンを移し替える。  ブルジョワなこの学校じゃぁ、インスタントラーメンを売っていない。確かに、この学校の食べ物はうまいが、やっぱり慣れ親しんだ、カップラーメンや、マック、吉牛、ガストの味が恋しい。  まぁ、さすがに店に行く事は出来ないので、大量のインスタントラーメンを先に送っていた荷物と一緒に寮に持ち込んだのだ。 せっかくの貴重なソウルフードが、台無しだ。心なしか、ちょっぴり伸びている気がする。
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