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「終わった」
俺は鼻をすすりながら、目の前にそびえ立つ塀に囲まれた建物を見ていた。
大自然とは聞こえがいいものの、緑と川のせせらぎと鳥のさえずりしか聞こえない山奥にこつぜんと現れる違和感。
「生きていける気がしない」
再度、重いメガネを押上げつぶやいた。お金がもったいないと、薄型レンズにしなかったおかげで分厚いメガネが隙をついてずれてくる。
眼前に広がるはこれから俺が通おうとしている私立秋山高等学院。山奥にある知る人ぞ知る学校だ。
その学校を前にして何をおれが呟いているかって?。
それはこの学校を知ればみな、そう思うに違いない。
まぁ、普通の人は入らない超ボンボン高校なのだ。イコール高校への金のかけ方が半端ない。イコール門だけですら金がかかっている。
ここは監獄かというぐらいの高い塀に囲まれ、門は車で突っ込んでも開かないぐらいの重厚さだ。
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