第2章

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 俺も帰ろうと立ち上がった時、沖が俺の名前を呼んだ。  振り返ると、ダンボール箱を抱えた沖が立っていた。  嫌な予感がする。 「お断りします」 「まだ、何も言ってないぞ」  先手を打って断ったが、通じなかった。 「高野、部活入ってないんだろ?。忙しい先生の代わりにこのダンボールを視聴覚室まで持って行ってくれないか」 「断りましたよ」 「まぁまぁ、そう言うなよ。今度、ジュースでもおごってやる」  そう言って強引にダンボール箱を預けてきた。ダンボール箱を落とす勇気がない俺はつい受け取ってしまう。 「レッドブルのでかいの3本ぐらいおごって下さい」 「おいおい、翼が何個はえるんだ」 「あ、CM見てるんですね」 「最近やたら入ってるからな。あんまり飲み過ぎると鼻血出すから、1本にしておけ」  じゃぁ頼んだぞ、とくだらない会話を打ち切って沖は先に教室を後にした。  なんてこった。面倒ごとを押し付けられた。
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