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「お前でもこんなもん、食べるんだな」
「は?」
「インスタントラーメン」
「こんなもんじゃねーよ。俺のソウルフードだ。これがなきゃ、俺はこの山奥で何を楽しみに暮らしたらいいんだよ」
「・・・お前、金持ちじゃねーのか」
訝しげに佐倉は俺を見下ろす。
そうか、こいつ特別枠だから俺と同じ庶民派なのだ。周りはインスタントラーメン?何それ?美味しいの?。っていう奴らばっかりだから俺がインスタントラーメンをすすっているのが不思議ということか。
「父親は金持ちだけど、俺は違う」
「なんだよ、それ」
「俺のお袋再婚なんだ。で、その再婚した父親が金持ち。それまでは、普通に貧乏だからインスタントラーメンがご馳走だった」
「へー。・・・・つーか、お前メガネ曇りすぎだろ」
「このメガネ、曇り防止してねーから」
「父親に買ってもらえよ」
「いや、なんつーか、これでも今までのメガネよりはいいメガネなんだって。それに曇り防止なんて贅沢すぎて顔にかけてるのが落ち着かねーわ」
佐倉は一瞬驚いた顔をしていたが、急に笑いだした。
「なんだよ」
意味がわからず俺は、口を尖らせ文句を言う。
「お前がそんなやつだとは思わなかったわ。貸せよ、メガネ。俺もメガネだから、曇り止めスプレーがあんだよ」
「えっ、あぁ」
じゃぁ、今はコンタクトでもつけてるってことか。
立ち上がって部屋から曇り止めスプレーをわざわざ持ってきてくれた佐倉に、俺はメガネを渡した。
佐倉はそれを受け取り、スプレーをかけて磨いてくれる。
最初、なんて塩対応と思っていたが、俺が金持ちだと思って敬遠していたってことなのだろうか。
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