第2章

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「お前でもこんなもん、食べるんだな」 「は?」 「インスタントラーメン」 「こんなもんじゃねーよ。俺のソウルフードだ。これがなきゃ、俺はこの山奥で何を楽しみに暮らしたらいいんだよ」 「・・・お前、金持ちじゃねーのか」  訝しげに佐倉は俺を見下ろす。  そうか、こいつ特別枠だから俺と同じ庶民派なのだ。周りはインスタントラーメン?何それ?美味しいの?。っていう奴らばっかりだから俺がインスタントラーメンをすすっているのが不思議ということか。 「父親は金持ちだけど、俺は違う」 「なんだよ、それ」 「俺のお袋再婚なんだ。で、その再婚した父親が金持ち。それまでは、普通に貧乏だからインスタントラーメンがご馳走だった」 「へー。・・・・つーか、お前メガネ曇りすぎだろ」 「このメガネ、曇り防止してねーから」 「父親に買ってもらえよ」 「いや、なんつーか、これでも今までのメガネよりはいいメガネなんだって。それに曇り防止なんて贅沢すぎて顔にかけてるのが落ち着かねーわ」  佐倉は一瞬驚いた顔をしていたが、急に笑いだした。 「なんだよ」  意味がわからず俺は、口を尖らせ文句を言う。 「お前がそんなやつだとは思わなかったわ。貸せよ、メガネ。俺もメガネだから、曇り止めスプレーがあんだよ」 「えっ、あぁ」  じゃぁ、今はコンタクトでもつけてるってことか。  立ち上がって部屋から曇り止めスプレーをわざわざ持ってきてくれた佐倉に、俺はメガネを渡した。  佐倉はそれを受け取り、スプレーをかけて磨いてくれる。  最初、なんて塩対応と思っていたが、俺が金持ちだと思って敬遠していたってことなのだろうか。
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