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「ここはいわば刑務所のようなもんだよ」
「刑務所?」
「高い塀に囲まれ、男ばっか。酒もタバコも買う所なし、非行に走りたくても走っても意味もない」
「非行に意味があんのか」
「ある。非行に走るのは誰かに止めてもらいたからだ。心配してもらいたい。けど、心配してくれる家族はここにはいねーからな、非行に走ったら退学で終わり。そんな窮屈なこんな学校にいるのは、みんなそれぞれ理由がある。トランスジェンダーや同性愛が理解されずに転校してくるやつ、誘拐されないようにセキュリティ万全なこの学校に小学校から通わされてるやつ、政治と金にコネクションを作りたいやつ、俺みたいに金が無くて、特別枠で入ってくるやつ、そしてお前みたいによくわからず入ってくるやつ」
「なんか、刺があるぞ。つーかいい加減メガネ返せ」
佐倉は黙って俺にメガネを返してくれ、そのまま話を続ける。
「みんな理由があるから、この学校を辞めたくはない。けれど、刺激は欲しい。その刺激が擬似恋愛みたいなもんなんだよ」
「だから?」
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