第1章

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 そもそも何故こんなところに俺が通う事になったのか。  本来なら、近くの公立高校に通う予定だったのだ。  それが、継父、健(たける)の一言で自体は一変した。  「よーし、これから海外で暮らすぞー」  は?  いつもより張り切って作られた夕飯を前にし、母、健、妹、弟、俺。 「お父さん、ずっとワイナリーの仕事がしたかったんだ、フランスにいいところ があってだな」 「いやいやいやいや、何を寝ぼけているんですか、オトーサン」 「やだな、伸一ちょっと怖いぞ」  1年前におふくろは再婚した。それまで、女手一つで俺や妹、弟を養い、苦労してきたが、この継父により生活はがらりと変わった。  別に反対はしていないし、俺も嫌いではない。良好な関係を築いてきたはずだ。 「お前を置いていけないだろ、だからみんなで移住するんだ」 「いや、無理っしょ。何をいってんだ。英語も仏語も話せませんよ。俺に過労死しろっていうのかよ」
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