第2章

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 昼飯を味わっていると、食堂内がザワつき始めた。当初こそ落ち着かなかったが、このざわつきは時々あり、別に珍しいことではなかった。  生徒会のメンバーが来ることはまれだが、ファンクラブが出来ている生徒は生徒会メンバーに限らず多数存在しており、そいつらが食堂内に現れるとザワつきはじめるからだ。  ただ、俺は生徒会メンバーは副会長しかしらないので、ザワつかれているのが、生徒会なのかそうじゃないのかは分からない。  基本、俺には関係ないので、振り返る価値もない。  倉橋もそんな俺に合わせて、いちいち説明をしたりはしなかった。けど、今日は違った。 「あっ」  倉橋の驚いた顔が俺の真上を見上げる。 「あ?」  定食から顔をあげるのと、隣の席に誰かが座るのが同時だった。倉橋の視線はそのまま、横へ向かう。目をまん丸にして口をパクパクさせている。その表情がおかしくて、思わず笑いそうになったが、隣のやつがそれを許さない。  俺の右肩はガッチリ誰かの左手によって固定された。 「・・っ」  食堂内の視線が全部こちらを向いている。俺は恐る恐るゆっくりと右側に首を動かす。  あぁ、なんてことでしょう。あれほど関わりたくないと思っていた、神々しい容姿の男が右肘をテーブルに顎をささえ、左手を俺の肩に置き、俺を見ているではありませんか。  俺はまたゆっくりと顔を真正面に戻し、倉橋を見た。倉橋はそれにどんな意味があるのか分からないが、首を横に振っている。   「お昼ご飯の時に悪いね」
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