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「・・・・・ほら、・・・あれですよ。もうひとつの入口は何故か混んでいたので」
「確かに、そうだ」
意外にもそれ以上追求はされなかった。その代わり、倉橋に火の粉が飛ぶ。
「君は倉橋くんだね」
北村は固まっている倉橋に向き直った。
倉橋はまん丸に見開いた目を瞬かせて、首を縦に大きく降る。突然の事態についていけていないようだ。あれほど生徒会について喜々として語っていた倉橋だったが、実際その本人が目の前に現れると言葉さえ出てこないでいる。
しかし、こいつ、北村は倉橋の名前も調べているのか?。
「噂はかねがね。今年のミスコン優勝候補というのもうなづけるね」
「い、い、い、いえ、そんな・・・」
ん?何か、男子校において凄くミスマッチな単語が脳内を突っ切った。
「ミスコン・・・?」
会話に参加する予定などなかったが、あまりにも不可思議な単語を思わずつぶやいてしまい、後悔する。
「あぁ、そうか。君は高校からこの学院に来ているから知らないのか」
俺の呟きを拾ったくせに、説明はなし。
「あ、年に一回ミスコンがあるんだよ。希望者が女装してコンテストするの」
倉橋が補足してくれる。
「え、それ誰得?」
「定期的にイベントがあった方が学校生活にも張り合いが出る。それにミスコン優勝者は一人部屋を与えられるという特典もある」
今度は北村がちゃんと答えてくれた。
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