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「た、高野!!」
しばらく、立ち去る北村をぼーっと目で追いかけていた倉橋が俺に向き直り、大声で叫ぶ。
「うっせーよ」
「ど、ど、どういうこと?。僕、初めて北村さんとお話しちゃった。ってか、高野やっぱり北村さんと知り合いだったの?」
「いや、マジで告白現場に居合わせたただの第三者だったんだって」
「それだけで、食堂にわざわざきて話にきたりしないでしょ?」
「・・・もしかして、これこそがあいつの復讐なのか?」
「えっ?」
鼻水をぶっかけた腹いせ。あいつは自分自身の価値を十分に把握している男だ。食堂に現れて声をかけただけで相手が目立つ事は承知のはずだ。
あえてここで会話をすることで、周囲に存在をアピールすることで、北村のファンクラブを俺にけしかける。自身は何も頼んでもないし、勝手にファンクラブのやつらがやったことだから、もし何か起きても北村に責任はない。
・・・・・まさか、そんな恐ろしい事考えてないよな。
「なぁ、タイムマシンってどうやって作れるかな」
「意味わかんないよ」
呆れた様子の倉橋の声を聞きながら、マジでタイムマシンに乗ってあの告白シーンの手前に戻れるなら、北村には絶対近づかないのにと、俺は心の中で嘆いた。
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